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2017-11

トワル・ド・ジュイ展 - 2016.07.15 Fri

フジタの描く『寝室の裸婦キキ』の周辺のカーテンは、トワル・ド・ジュイの物だ・・・と言うんです。
奇しくも渋谷の「Bunkamura ザ・ミュージアム」で『西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展』が
行われてたので『トワル・ド・ジュイ』とは~何ぞや!? 好奇心満載で・・・行ってきました。

IMG_4770.jpg

jui1.jpg

18世紀を中心にヴェルサイユ近郊のジュイ=アン=ジョザスの工場で生産された西洋更紗の
『トワル・ド・ジュイ』とは・・・ジュイの布~という意味なんです。

木綿地に植物や動物、人物などの文様を染めたインド発祥の「更紗」が
「インド更紗」として17世紀後半、東インド会社によってヨーロッパや日本にもたらされ、
世界各地で独自に発達して、江戸時代の日本では更紗、イギリスではチンツ(色とりどりの布)、
フランスではアンディエンヌ(インドの布)、と・・・様々な呼び名が与えられ、珍重されたようです。

茜地草花
茜地草花文様鬼更紗 17~18世紀 木版・綿(インド製) 染司よしおか

捺染
 気軽に洗濯できる更紗は、
 実用的な布としてフランスでも人気を得ますが、
 絹やウールなどの伝統的なテキスタイル業者の
 反感を買い、1680年、更紗は輸入・製造はもとより
 着用も禁止されたんです。

 この禁止令が解かれたのは・・・
 更紗製造の復活にあたり
 フランスに招かれた技術者
 オーベルカンプ(20歳)によって
 73年後~というから驚きです。

 左は
 国務会議の裁決で
 トワル・パントと
 捺染を禁じたことを記したもの




綿捺染の布端。オーベルカンプの名前とデザイン画の番号が刻印されている

布端

オーベルカンプ
 ドイツ出身の
 クリストフ=フィリップ・オーベルカンプ(1738−1815)は、
 良質な水源のあるジュイ=アン=ジョザスに
 工場を設立し
 木版と銅板によるコットンプリントで・・・
 植物や田園風景をモティーフにして
 1770年から本格的な生産を開始した。

 人物がいる風景を赤や紫、セピア色など一色で
 銅版でプリントしたデザインは
 「トアル・ド・ジュイ」の代名詞になったんです。
 




オーベルカンプの工場は最盛期には1000人以上の職人の働く大生産地に発展します。

工場
ジャン=バティスト・ユエ 「ジュイ=アン=ジョザスのオーベルカンプの工場」 
1807年 油彩 キャンバス地        ナポレオンの訪問を記念して描かれた作品
広場には布が干されていて、画面右下ではオーベルカンプがナポレオンを迎えています。


銅版の捺染は、ジュイでは1770年に始まったつ伝えられている。
単色で細密なプリントを始め、神話や歴史、田園風景などを題材にします。
下は、田園風景のモティーフの源泉・・・フランドルの「狩猟風景が描かれたタペストリー」1600年頃

タペストリー

下のモチーフは、男女の戯れる様々な場面を描いたもので、
「ディアナとアクタイオン」「ディアナとエンディミオン」という二つの神話から着想されている

銅板

1797年以降は、シリンダー(ロール状の版胴)を用いることで効率が上がり、1日5000メートルの
生地を捺染できるようになった。

シリンダー式捺染機

jui2.jpg

ヴェルサイユ近郊の村、ジュイ=アン=ジョザスで生産されたことから「ジュイの布」と言われ
フランス王妃マリー・アントワネットやナポレオンの妻・ジョセフィーヌなどを魅了します。

王妃マリー・アントワネットは、窮屈な宮廷生活から逃れて、夫から与えられた離宮プチ・トリアノンで
過ごすことが多く、そこでの生活は、身を締め付けるロココの仰々しいドレスでなく、コットンなどで
仕立てられた自由に動き回れる簡素なドレスを着ていた・・・という。

マリーアントワネット
「マリー・アントワネットのドレスの断片」 
1780年頃 手彩色・綿(ジュイ製) ボーアラン、サン・ルイ修道院


人気画家のジャン=バティスト・ユエ(1745-1811)を筆頭デザイナーとして起用
ユエは1768年にフランス王立アカデミーに入会するなど、早くから人気のあった画家で、
ロココの代表的芸術家フランソワー・プーシェに影響を受けて優美な画風を確立させた画家で
動物画を得意とした。

バルビゾンへの道
ジャン=バティスト・ユエ 「羊飼い姿のヴィーナス」 山寺後藤美術館

ジュイ工場は特徴あるプリント・デザインを生み出した。
ジュイ布と言えば、すぐに思い浮かぶのが、藍色や赤の影絵で表現された、羊が長閑に草を育む
ロココ風の田園風景や人物が登場する物語性をもつシーン等。
それは、ジュイで使われた銅版プリントならではの繊細な線を特徴としている。

マリーアントワネットゆかりの「トワル・ド・ジュイ」と言えば、
王妃が田園で気球を見物する姿を描いたユエの『お城の庭』が知られている。

マリーアントワネット
ジャン=バティスト・ユエ「お城の庭」 
1785年 銅版プリント・綿(ジュイ製) トワル・ド・ジュイ美術館


ロマンチックなカップルや、働く人々、動物たちが田園風景の中に生き生きと散りばめられています。
人物が田園に遊ぶ、単色の田園風景に代表される優雅で楽しいコットンプリントの数々は
いまでもフランスの伝統的な布地として愛されています。

田園の楽しみ
ジャン=バティスト・ユエ「田園の楽しみ」 
1802年 銅版プリント・綿(ジュイ製) トワル・ド・ジュイ美術館


フランスでは、ジュイに続きアルザスやノルマンディーなど、各地に次々とプリント工場が設立され
フランス製のプリント布地が作られるようになる。

≪ブランコ≫
1780年代、ジャン=パティスト・ユエによるトワル・ド・ジュイの原画
動物や鳥に囲まれながら、花のブランコで遊ぶ女たちが描かれた幸福感のある作品

ブランコ

≪アメリカの独立≫1784年 ジャン=パティスト・ユエ
サルとリスが描かれた装飾的なモチーフで分けられた二つの野外のシーンで構成された絵。
タイトルは円形の二つのメダイヨンの場面から名付けられた。
一つは、ミネルヴァ(仏)が豹(英)の襲撃から子どものヘラクレス(米)を護っている様子
もう一つは人の横顔の装飾が描かれている

アメリカの独立

≪自由の復興者ルイ16世≫1789年 銅版プリント・綿
ローマの鎖を見につけたルイ16世とライオンが軍神とミネルヴァに伴われた自由の女神を迎えた絵

ルイ16世

≪ゴネスの気球≫1790年 銅板プリント・綿
気球を発明したモンゴルフィエ兄弟が、気球を蒸気で膨らませるのに成功した頃の出来事を描いた絵

ゴネスの気球

≪連盟祭り≫1791年 銅板プリント・綿
バスチーユの廃墟で二人の演奏者が市民を踊らせ、その一方では、ルイ16世が国家のために宣誓している
様子を描いたもの

連盟祭

以上のように、様々なストーリーがプリントで表現され、作られた時代を読み解くことが出来るのです。

jui3.jpg

オーベルカンプは、インド更紗の手法を踏襲した木版プリントでも、フランスならではの洗練された
植物モチーフやパイナップルののような南国の珍しい果物などを木版プリントし、
ヴァリエーションは3万種以上にも及んだそうです。

パイナップル図

中でも人気があったのは、黒地に何種類もの花々を散りばめた「グット・ハーブス」のシリーズ
バラやライラック、勿忘草など身近な花々をプリント。まさにフランスの布に咲いた花園のよう!!

グット・ハーブス

「花と鳥」 1775年 木版プリント・綿(ジュイ製)

花と鳥

「小花散らし文様」 1785年 木版プリント・綿(ジュイ製)
 
小花

「コクシギル」 1795年頃 木版プリント(ジュイ製) 伝統の怪獣と花を描いたもの

コクシギル

ジュイ工場は、素晴らしい発展を遂げましたが、
オーベルカンプの死後、事業は徐々に衰退し、1843年に工場は閉鎖されています。

だが、皮肉なことに、その間にジュイで作りだされた独自性のある”ジュイ布”は、
幻の布として、永遠に不滅のものになった・・・と。

jui5.jpg

スタイル2 スタイル4

スタイル3
 ジュイの布の流行が広がる前にも、
 多彩な色柄のついた布へ
 人々は思いを募らせていた。

 異国的で美しい色柄を手描きや型染めにした
 トワル・パントという布を
 男性は室内着に、女性はドレスにして
 身にまとった。

 マリーアントワネット王妃が登場する前の
 ファッションリーダー、ポンパドゥール伯爵夫人も
 絹に手描きのトワル・パントの贅沢なドレスを好んだ

 ≪トワル・パント≫
 梨の木の版木に模様を彫り、
 主に植物系の染料を用いて、
 布地に捺染する技法を用いて生産される
 プリント生地は、トワルパントと総称される


スタイル1
18世紀半ば、古代遺跡ブームが起こった時
打ち捨てられた廃墟の壁に残された虫跡のような
≪ヴェルミセル模様≫が建築装飾として流行し、
ファッションでも大流行になった。

19世紀初め、古代ギリシャ風の白い木綿ドレスが
流行し、次の時代は大きく膨らんだ袖と釣り鐘型
スカートのシルエットにはジュイ布の花柄プリントで
引き立てたロマンチックファッションが
脚光を浴びる。

ジュイ布の花柄プリントは、
イギリスのウイリアム・モリスの唐草の花に
イメージを与え、リバティの花柄を咲かせ
・・・・この二つは、私にも身近な存在です


jui4.jpg

20世紀になり、風景、動物、人というジュイ布のフランス的エスプリを画家ラウル・デュフィが受け継いで
パリの公園や避暑地、南の島々を背景として登場する20世紀の人物たちを描いている

デュフィ
≪パリが見える花で飾られたバルコニー≫ 1921年 ラウル・デュフィ
花々が溢れるように咲くアパートのバルコニーから、エッフェル塔やポン ヌフ、ノートルダム大聖堂など
パリの街を眺めた景色を描いた作品


ラウルデュフィ-2
ポール・ポワレに誘われてテキスタイルデザインを手掛ける鮮やかな色彩で大胆な柄が印象のデュフィの作品

ラウル・デュフィ-4
パッチワークなどで身近なリバティの生地の模様が・・・ラウル・デュフィのデザインとは驚き!?

トワル・ド・ジュイはウィリアム・モリスの興したアーツ・アンド・クラフツにも影響を与えた

IMG_9423.jpg モリス

パリからジュイに至る直線の、少し先に、藤田嗣治、レオナール・フジタのアトリエがあります。
手芸が得意だったフジタ。様々な布の端切れが今も残されています。フジタはトワル・ド・ジュイも好み、
裸婦の背景にも度々用いています。布好き、ジュイ好きだったレオナール・フジタの作品は・・・

友情4
 「友情」1924年 油彩・キャンバス 
 フランス国立近代美術館

 二人の裸婦が描かれているが
 その描き方に肉付けのモデリングが
 現れ始めている・・という。

 これは、1921年に始まった
 一連の裸婦像には見られなかったもの。

 風景の中に裸婦がいることも目を引く!!

 右手には木とバラがあり
 後方には庭園が広がっている

 一人の裸婦が腰かけているジュイの布には
 バッカス神らしい絵が描かれ
 全体にイタリア風


「寝室の裸婦キキ」 1922年 油彩・キャンバス パリ市立近代美術館
周囲のカーテンのジュイの布は、この作品をシンプルでありながら存在感のあるものにしている

寝室のキキ

私が持っている『藤田嗣治画集 素晴らしき乳白色』からも・・・見つけました。

「夢」1954年 油彩・キャンバス  裸婦はジュイの布の下で眠りについている。

P1250367.jpg

「裸婦」1956年 油彩・キャンバス
「夢」と同じベット、同じジュイの布と思われるが、ジュイの布の模様はもっと繊細に描かれている。
これは、想像ではなく実際にジュイの布を使って模写しているに違いありませんよね!?
様々な子供の遊びや少女を描く画家なども描かれていて・・・素晴らしい!!

IMG_4779.jpg

私は、器だけでなく、パッチワーク愛好者としてテキスタイル蒐集家でもあります。

何気なく買ったピローケースやランチョンマットが、インド更紗に端を発しているジュイの布似~とは!?

IMG_4801.jpg

ジュイの布を知って、また興味の幅が広がりました。

「アントワネットも愛したフランスの布 西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展
6月14日~7月31日 Bunkamura ザ・ミュージアム

参考:ミセス7月号 TOILE DE JOUY 西洋更紗「トワル・ド・ジュイ」の魅力
   :Bunkamura magazine 6月号
   :展覧会のホームページ

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● COMMENT ●

シッカロールでてかりをとって描かれた藤田嗣治、レオナール・フジタの作品
と結びついて、次に彼の愛した西洋更紗の展覧会をすぐに見に行くという
その行動力に感心します。

フジタの「友情」という絵の上の更紗の右側。ブルーの布地は
monalisaさんのお好みだなぁ…と思いましたよ。

私が気にいったのは「花と鳥」 1775年 木版プリント・綿(ジュイ製)
さわやかでいいわ。

ikさん、今晩は~

お忙しい所、ありがとうございます。

健康には自信がありますから
時間さえ味方になってくれれば・・・即行動!!です。

行動力と言えば、山梨の叔母の通夜がありまして、今日葬儀ですが
仕事上出れないので・・昨日半日仕事の後、1時に東京出発して
6時半の通夜に出て、とんぼ返り~10時半に東京に戻りました

こう忙しいと・・・ヤッタ感、充実感が生まれますね!!

若冲展から始まって・・・シッカロールロース→レオナール・フジタ→西洋更紗
一つの流れが出来てしまいました。
実は、西洋更紗から→パコ・デ・ルシアに繋がるんですが~
ikさん、実は7月23日から
Bunkamuraル・シネマで、あのフラメンコ・ギタリスト パコ・デ・ルシアのロードショーが始まるんです。
スペインには7月28日深夜便で出発ですので、それまでに是非見て行きたいと思っています。

ikさんは、勿論あの天才ギタリストのパコ・デ・ルシアは、ご存知でしょう!?

10年前に、彼のCDをスペインで買って以来、あの奏でる音に首ったけ!!


>フジタの「友情」という絵の上の更紗の右側。ブルーの布地は
>monalisaさんのお好みだなぁ…と思いましたよ。
  あらあら~、すっかり私はikさんに見透かされています。
  嬉しいような~怖いような~(笑
  あれは ウイリアム・モリスのデザインのもの。
  あのような模様の服を持っていたことがあります~よ。

『花と鳥』は、確かにあの中では一番いいかもしれません~ね。
ikさんは、爽やかさを・・・評価!?
私は、温かさ~かな!?

パコ・デ・ルシア

もちろん、もちろん私もパコ・デ・ルシアの大ファンよ。
CDはやはり熱狂的なファンの夫のためにもう一枚コピーして
渡してあります。

旅行ご出発まであと10日あまり。あまり体力を消耗しすぎないようにね



ikさん、こんばんは~

またまた、ひとっとび~
土曜日の半日仕事を終えて、南部の家に孫達と来ています。
一昨日、掃除はすましておきましたので
快適な別荘ライフです。

やっぱり~パコ・デ・ルシアの大ファンでしたか!?
そして、ご主人さまも熱狂的ファン・・・でしたら、ロードショウは是非お二人で行かれると良いですね。

ここにDMはないので、どんな曲が演奏されるか分かりまっせんが、
私は、楽しみにしています。

はいはい、そろそろ旅の支度もしなくてはいけません~ね。

昨夜、ミロ美術館やグエル公園、カーサ・バトリョウのチケットを妹に頼まれて取りました。

まだ、地図が頭に入っていないので、これからじっくり眺めます。


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